大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)133号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二、「千葉」という氏姓が日本においてもつとも多い氏姓に属し、ありふれたものであることおよび漢字よりなる日本の氏姓、名称等を表示する場合には、漢字そのものをもつてするのが通常であるが、近時、商取引の簡易化の必要に応じ、取引に使用される器具の機械化の進むにつれて、これを仮名文字またはローマ字をもつて表示することがしばしば行なわれること、とくに商取引社会においてその傾向の強いことは、当裁判所に顕著な事実である。

そして、本願商標の構成は、「チバ」という片仮名文字をゴチック体で左横書きにしてなる(このことは当事者間に争がない。)というきわめて簡単なもので、普通に用いられる方法で表示されているものであり、これは日本人であるならば、「千葉」という氏姓を片仮名文字で表わしたものと直感し、認識するのが通常であるといえよう。

したがつて、本願商標をその指定商品の分野で用いても、取引者、需要者、とくに一般取引者においては、「千葉」という氏名を付して取引される同種商品と、その出所を識別することができないものと認めるのが相当である(とくに、本願商標の指定商品の分野において、同種の商品を製造、販売する者のなかに「千葉」という姓名または名称を有する者が多数いることが想像されることにおいては、なおそうである。)。

原告は、原告会社CIBA LIMITEDの本願商標の指定商品の分野における著名性を理由に、「チバ」なる本願商標で、十分商品を識別する標識力を有する旨を主張する。なるほど、本願商標の「チバ」なる語句は、原告会社名CIBA LIMI-TED中のCIBA部分を日本文字で表わそうとしたものであることは、推測にかたくないが、原告(会社)がその主張のように世界有数の大会社であり、わが国にその子会社ともいうべきチバ製品株式会社が存在するとしても、本願の「チバ」という字句を用いた構成の商標が直ちにCIBA・CIBA LIMITEDさらにはチバ製品株式会社または、これらの製造、販売にかかる商品を指示するものであると取引者および需要者に認識されうるとの点について格別の立証のない以上、前記の認定をくつがえし、本願商標がその指定商品の分野において商品の出所についての識別力を備えているとすることはできない。

要するに、本件審決には、原告主張のような違法はない。

(むすび)

三、以上説述したとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、原告の本訴請求は棄却する。(服部高顕 石沢健 奈良次郎)

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